ひゅうまん京都

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特集:知る権利の保障、知らせる義務の自覚

特集:知る権利の保障、知らせる義務の自覚(2003年5月号)

知的障害−知らされないで困ったこと

橋本久美子

橋本久美子(京都手をつなぐ育成会北支部長)



私の息子は知的障害をもっています。それで、私は知的障害者の親の会である「手をつ なぐ育成会」の北支部長をしています。親の運動団体です。結成して50年になります。当 時は、修学猶予ということで小学校にすら受け入れてもらえず、少しでもがんばろうとい うことで始まった組織ですが、今も続いています。
 子どもたちの幸せのために養護学校が必要と、東、西、白川養護とつくってきました。
 また、早期発見が大切ということで、若杉学園がつくられました。さらに、卒業後の進 路ということで、その当時は共同作業所もなかったので、就職のための訓練場所として、 若杉学園ができました。
 時代によって、訴えや運動の内容は違いますが、知的障害者は残念ながら、自分の声で 訴えるのは難しいところがあります。そこで、学校にPTAがあるように、障害児をもつ 親にとっては、これがPTAといわれ入会、今日に至っています。
 ところで、私の子どもは養護学校を卒業してみやこ作業所に通うようになりました。そ れでNPO法人みやこ福祉会の理事もしています。


よく分らない支援費

 支援費制度のことを情報ということから見直してみると、本人、親に正しく情報が伝わ っているとは思えません。
 私も何度か、研修会に参加しました。ようやく、概略だけはなんとなく見えてきたよう に思いますが、ほんとに知りたいところがなかなか分からなくて困っています。
 福祉施策や制度の利用は、本人が申し出ないと、なかなか、前に進まない仕組みになっ ています。
 ですから、福祉事務所に行って支援費の請求をしてくださいねと言われても、そもそも どういうものがあるのかがはっきりしないので、ハイそうですかとは簡単になりません。


ガイドヘルプで格差

 昨年1月から居宅支援事業のガイドヘルプを使えるようになりましたが、当初は、親の収入によって費用負担が違っていたりして、使うのをためらう人が少なくありませんでした。まして、重い障害を持っている子どもの親で、比較的高齢のお母さんは、「ガイドヘルプってなんやろか?」「何にも知らない他人に子どもを預けていいのか?」など不安がいっぱいでした。
 しかし昨年の10月から費用負担の基準が、本人の収入に変わったので、現在では、ほとんどの人が無料で使えるようになったので、ようやく垣根が低くなり利用が進み出しました。
 この4月からは、支援費制度の対象になります。ですから、いま利用している人には大して問題はありません。これまで、利用時間が午前8時から午後5時までとか、京都市内に限るなど、規制が強かったのですが、4月からはそれがとれます。
 いま利用している私たち、みんなで福祉事務所に請求にいこうねと話していますが、情報が伝わらず、いま現在使っていない人には、ハードルが高いかと思います。
 育成会の会員には、育成ニュースというものでこうした情報を伝えるようにしていますが、文字離れの進んでいる現在では、本当に見てもらっているのかどうか不安があります。
 また、育成会に加入していない方もいらっしゃるわけですから、その方達には伝わっていないことも考えられます。



高等部に行けない

 知らずにいて、とんでもない不利益を蒙った例にこんなことがあります。みやこ作業所の仲間の話です。その仲間は、中学を卒業して、そのまま在宅で過していました。養護学校の高等科に行く方法を知らなくて、そのままでいたといいます。なんで知らなかったのか。なぜ周りの人は知らせなかったのでしょうか?学校の先生はどうしていたのでしょうか。中学3年で育成学級にいることが、養護学校進学の最低条件ですが、そのことを知らなかったというのです。また、療育手帳を持っているのに障害基礎年金のことを知らなかったという例もあります。療育手帳を交付するときになぜ福祉事務所の人知らせなかったのか不思議でなりません。



手帳めぐって

 喘息の発作がきつくて、医療費がかさむ子どもさんの親から、「福祉医療の制度が使えないか」との相談を受けたことがあります。福祉医療は療育手帳がA判定でないと対象になりません。しかしこの子どもさんはB判定。ところが、全身に身体障害を併せ持っています。うちの息子は、目は弱視、耳は難聴と全身に障害がありますが、そのうちの息子と比べても障害は重いのに、18歳までに身障手帳の申請をしていなかったので、きちんと身障手帳を受けられなかったのです。


情報を共有して

 さまざまな情報を共有し、みんなが使えるようになりたい、と思います。現にある制度を使いながら、あんなことをしてほしい、こんなこともと親から訴え続けたいと思います。

 
 


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