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☆2008/7/24更新☆

 『イソップ株式会社』(井上ひさし 和田誠・絵 中公文庫 本体価格743円)を読んだ。3年前に中央公論新社から出た単行本を文庫化したもの。初出である読売新聞夕刊からすると5年がたっているが、どのように変わっているのか、変わっていないのか、私には不明。和田誠の挿絵が、添え物に終わらず、カラーで挟み込まれているのも嬉しい。

 37枚になる和田誠の絵は、文章で描かれるその章を1枚で書き下ろしている。作者が、文章を良く理解していることに舌を巻く。同時に、その絵が、誠に美しく、37枚の絵だけを見て、その章に何が書かれているのかを想像するのも、また楽しい。私は、全文読破ののち、絵だけを見返して、絵が描いてある章の文章を思い出してみた。

 夏休み、さゆり、洋介の姉弟は、父の母であるトキの家で過ごす。東北地方らしきトキの家に、小さな出版社を営む父・光介が、外国出張するときに約束した、毎日のお話が届くようになる。お父さんは、死に別れになった妻との、結婚前からの約束である、「1日1話」を果たすつもりらしい。

 お父さん、子ども二人、トキさん、そして弘子さんの語るお話が37も続く。それは小学生にも分かるように書かれているが、中身はとても濃いものになっている。そうそう、弘子さんとは、お話を毎日ポストに入れてくれる、お父さんの会社の人で、さゆりが、「父と弘子さんとの距離が、なんだか近づきすぎている」と感じている女性。

 紹介されるお話は、どれもこれも、童話とは決め付けられない高度な内容で、擬音語の澄む濁るで、感じが変わることが扱ってあると思えば、数字にこだわる病気の治る方法も支配者の器量の問題も扱っている。寄贈された図書を整理する場面がちりばめられていて、そこでの会話も楽しめる。
 今朝早く、東北地方で地震。今度も大きな影響が出ている。無事であることが不思議になってくるような毎日が続く。


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