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☆2012/1/28更新☆

『アウシュヴィッツは終わらないーあるイタリア人生存者の考察』(プリーモ・レーヴィ著、竹山博英訳、朝日選書151、本体価格1400円)は著者最初の作品であり、1946年、アウシュヴィッツから奇跡的な生還を成してすぐに書かれた。アウシュヴィッツでの体験に必要な考察が加えられている。

 1919年にイタリア・トリーノに生まれた著者は大学で化学をまなび、ファシストと闘い、43年12月ファシスト軍にとらえられ、44年2月、アウシュヴィッツ抹殺収容所に送り込まれる(著者は「一人一人が相手の命に別れのあいさつを送った」と書いている)。45年1月27日、レーヴィはソ連軍の進攻とともに収容所から解放されるのだが、彼とともに収容所に送られたイタリア系ユダヤ人650人のうち、わずか3人だけが生還を果たした。

 本書の叙述対象となっているのは、収容所での体験だ。もともと書くことが好きだった彼は、収容所体験に絞って、自分の体験したことをえがく。著作にはヒットラーの政治も顔を出さないし、抵抗運動も描かれない。だからこそ、あるいはそれゆえにアウシュヴィッツが、死への装置として浮き彫りになり、おぞましさが身に迫ってくる。

 著者は、ユダヤ民族皆殺し収容所を描く。同時にそれは特定民族の優位性の誇示につながる。理屈はそこにとどまらないで、ナチスが劣っていると考えた者、ナチスの前に立ちふさがる者につながる。「ユダヤ人の名士」を「怪物」と著者が呼ぶとき、それらがラーゲル体制が生み出した存在ととらえるが、その存在が収容者を苦しめる。

 <ラーゲルの法とは、「自分のパンを食べよ、そしてできたら隣人のパンも」>と収容所の過酷が描かれる。<第3帝国に有益な労働ができるかどうか>を基準にして、人々はふるい分けられた。「労働は自由をもたらす」というナチのスローガンが入り口にも掲げてあったアウシュヴィッツ。あまりにも非人間的な扱いは、人間がやったこと、レーヴィの著作は訴える。

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