編集長の毒吐録
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☆2019/10/16更新☆

【読書雑記578】『勇気ある義人 古在由重セレクション』(古在由重/著・太田哲男/編、同時代社、2600円+税)。加藤周一は古在由重を悼む小文で、彼を「義人」と呼んだ。憲法を頂点とする「戦後の価値」=「平和と民主主義」が問い直される今日、古在の振舞いと「反戦の哲学」を学ぶ意義は大きい。大学生以来、いささかの交流を持った人間としても面白く読んだ。

「古在先生のご逝去は、痛恨の限りです。先生は最後まで初志を貫かれた、勇気ある義人でした。その精神は多くの人の心に長く生き続けるでしょう」(加藤周一「弔電」古在由重告別式)との言が胸に広がる。

さらに、藤田省三は、「太平洋戦争中のゾルゲ・尾崎秀実事件に於ける・・(松本慎一・古在由重の活動)は、その時代的状況を考えれば、拘禁状態に置かれている場合よりも、或る意味では、遙かに大きな勇気と冷静な思考と果敢な決意を必要とする行動でありました。「勇気ある義人」の面目ははっきりとこの時立証されました」と述べている(「其の心の在り方の延長線を—古在由重追悼集会にて」)。

編者は、<(古在は)40年前の「現代哲学」で、現代の観念論は科学主義的観念論と「生の観念論」に分かれ、分かれ方はますます激しくなると書いたが、科学主義的観念論者ラッセルと「生の哲学」やサルトルがなぜベトナム戦争反対で一致したのか。「思想信条の違いをこえて」とよく言うが、見逃せないのは二人の「共通なもの」「共通なものがあることによって」という点だ。二人のような高度な知識人を結びつけたもの、それはヒューマニズムではなかったか・・人間はいろいろな考えを持って生きている。「これ一筋」で一貫するのは稀だ。共通のところが一点あれば、それを追求する。そうすればますます共通点が広がり、仮に目的が達成されれば、また次の目標に連なっていくような統一の仕方、連帯のあり方がいま要請されている>と本書で書く。

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