編集長の毒吐録
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☆2019/12/4更新☆

【読書雑記592】『歴史と文学 歴史家が描く日本近代文化論』(成澤榮壽、花伝社、4500円+税)。著者は、文学の後ろ、あるいは底を流れる歴史を語る、というう考えの下、本書をモノにした。文学作品は文学作品ではあるが、幾冊かは歴史を読み解く手掛かりにもなる。文学作品そのものが歴史を語り、歴史を反映する。その例として、著者があげるのは、島崎藤村の『破戒』であり、谷口善太郎の『綿』だ。

著者はこの書で、日本の近代と対峙した作家の苦悩と格闘を描いた姿を俎上に乗せた。それは、いわば、交錯する「文学的意識」と「歴史意識」とも言えようか。であるがゆえに、一種の、日本近代文化論ともなっている。漱石は、藤村の書を評して、「明治の代に小説らしき小説が出たとすれば破戒と思ふ」と評している。『破戒』は部落問題を題材に、あるいは素材にした作品であり、『破戒』は日本近代史として読み得る文学だ。歴史叙述の史料として用いることの出来る内容をこの作品は持っている。

第1章 島崎藤村の『破戒』をめぐって/第2章 谷口善太郎『綿』の普遍性と科学性/第3章 原田琴子の反戦思想と家族制度批判/第4章 石川達三『生きてゐる兵隊』考/第5章 美術展覧会を歩く/第6章 社会運動家難波英夫とその人道主義的源流/第7章 相馬愛蔵と相馬黒光

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