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☆2019/12/6更新☆
【読書雑記593】『帝国航路(エンパイアルート)を往く イギリス植民地と近代日本 シリーズ日本の中の世界史❷』(木畑洋一、岩波書店、2400円+税)。「明治維新」の前、多くの日本人がイギリス帝国の支配下の航路を辿り、ヨーロッパに渡った。シンガポールやインド、エジプトなど様々な地域の状況にふれ、帝国支配の様相を自らの視線でとらえた彼らを通して、帝国主義世界体制の中での近代日本の位置を模索する彼らの言説に迫る。好著。
幕末から第一次世界大戦の時期は、帝国主義世界が顕わとなり、国ごとの優勝劣敗がはっきりと分かれる過程であり、その体制のなかへ日本が組みこまれる時期だった。「新生大日本帝國」の初期に西洋、なかでも英独仏への渡航者は、横浜・神戸から上海、香港、シンガポール、ペナン、コロンボ、アデン、スエズ、アレキサンドリア、マルタ、ジブラルタルを経由して赴くわけだが、これらすべてが大英帝国の植民地あるいは影響下にあったことに驚いたという。
本書では、伊藤博文、渋沢栄一から遠藤周作まで、1860年代から1950年代にかけて帝国航路を渡航した日本人の思惑、特に東洋・西洋世界と日本を比較し、世界並びにアジアにおける将来の日本の立ち位置を模索した多様な人物を拠りどころに、旅の記録を読み解く。ダイナミックな世界史の動きが、帝国航路の旅を通じて日本の中へ浸透する様相が提示される。
これらの「航海記」の筆者である外交官、軍人、学者、電気工事業者など一般国民のものまで多様な見解が示され、帝国航路とイギリス支配への驚きが窺える。目立つのは、現地人への同情でありと、イギリスに代わって日本がこの地を統治し、彼らを解放するとの思惑だ。この意識が大東亜共栄圏につながったのではないか。
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