編集長の毒吐録
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☆2019/12/14更新☆

堂本印象美術館の『驚異のクリエイションパワー』(前期、〜2020年2月2日〈日〉)を観てきた。堂本印象(1891年〜1975)の作品は多いが、本展の目玉は、特別出品と銘打たれた「高知・竹林寺の襖絵」だった。印象は、生涯を通して風景、人物、花鳥、神仏など多様なモチーフを描きこなしたが、50年代半ばからは、日本画家による抽象画というそれまでには見られなかった前衛的・抽象的な作品を発表し、画壇に新風を吹き込んだ。

その中で、特に僕が度肝を抜かれた作品は、この展覧会でも展示されている1963年に描かれた高知・竹林寺の襖絵。『雷神』(4面。展覧会の後期(2月4日〈火〉〜3月29日〈日〉で『風神』が展示されるそうだ)と、『瀬戸内海』(8面。後期には『太平洋』が展示される)が特別展示されていたのだが、それは色も鮮やか(あでやか)な抽象表現の絵だった。

寺という空間に抽象表現の艶(あで)やかなる絵!注文した住持も「偉い」し、それを受けて絵を制作した印象にも脱帽、座布団何枚か!完全な抽象表現でかつ大胆なる筆致の襖絵は、日本の障壁画史に燦然と輝く画期的な作品ではないか。

金色(こんじき)を背景にした襖絵2枚に、黒と赤の線などが描かれ、右上の「風神」が躍っている。躍動感が躍る『雷神』の絵の大胆が足を止める。無理やりの「抽象」ではなく、この手法だけが、「風神」の勢いを表現できる。8面の襖絵『瀬戸内海』は黒の太い棒のようなものが横切るように描かれる。その黒は、おだやかで力強い。一目では捉えきれない、左右に走る黒の太い線が目に残る。

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