|
<<前のページ
☆2020/1/5更新☆
山田洋次監督による映画「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品である『男はつらいよ おかえり寅さん』(山田洋次/監督、2019年/116分/日本)を観た。回想映画にとどまることなく、高齢化問題など今の話になっている。これに、この映画シリーズのヒーロー寅さん(渥美清)がかぶさっている。1997年の『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』以来、22年ぶりに製作された。
帝釈天の参道にあった団子屋「くるまや」は、今はカフェに生まれ変わっている。その裏手にある住いでは、寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。小説家になっている満男のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までした泉の姿があった。
泉は今では国連難民高等弁務官事務所で働く大人になっていた。かつての清楚な感じの泉はイメージが変わり、大人の女性になっていた。再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。
ブランクはあったけれど、泉は今も、日本にいる父と母に翻弄されている。満男はそんな泉によりそって、一緒に悩む。「満男はまちがったことをしていない。私はむしろよくやったとほめてやりたい」との寅おじさんの言を思い出す満男だった。昔と今日を、作品を使って往還し、人間に迫る映画に仕上がっている。
Smart Renewal History by The Room
|