編集長の毒吐録
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☆2020/1/7更新☆

【読書雑記602】『分解の哲学 腐敗と発酵をめぐる思考』(藤原辰史、青土社、2400円+税)。「はれ」と「け」、あるいは「生産」と「廃棄」、すべてものには「栄枯盛衰」があるが、本書はモノの最後を描いて、モノの一生を追った画期的な書。蒙を開かれ、新しい視点を獲得することができた。

僕らが生きる世界には、新品と廃棄物、生産と商品、生と死に満ち溢れている。本書で著者は、モノの最後を追う。「食」を考えるための新しい哲学といえよう。いわば、「川下」から「川上」を眺めることで、モノの一生を視、社会を考察する視点を獲得できる。

序章 生じつつ壊れる/1 掃除のおじさん/2 属性を失ったものの必要性/3 人間界と自然界のはざまで/4 壊れたものの理念―ナポリの技術/5 機能から切り離された器官//第1章 〈帝国〉の形態―ネグリとハートの「腐敗」概念について/1 隠される腐敗/2 土壌から考える/3 〈帝国〉を描く/4 腐敗を考える/5 分解者としてのマルチチュード/6 歴史に聴く

第2章 積み木の哲学―フレーベルの幼稚園について/1 崩すおもちゃ/2 フレーベルの幼稚園/3 フレーベルの積み木の哲学/4 積み木の無限性/5 育むものとしての人間と植物/6 歌と音/7 食べる分解者たち

第3章 人類の臨界―チャペックの未来小説について/1 「分解世界」と「抗分解世界」/2 『マクロプロス事件』/3 もはや神の未熟児ではなく/4 メチニコフのヨーグルト/5 人類はいつまでもつのか/6 人類の臨界へ―─ロボットの叛乱/7 ロボットと人類の混交/8 労働からの解放による人類の滅亡―『山椒魚戦争』/9 壊しすぎるという問題―『絶対製造工場』と『クラカチット』/10 ロボットの末裔たち/11 土いじりの生態学/12 チャペックの臨界から跳べ

第4章 屑拾いのマリア―法とくらしのはざまで/1 分解者としての屑拾い/2 明治の「くずひろい」/3 屑の世界の治安と衛生/4 バタヤとルンペン・プロレタリアート/5 ポーランドから蟻の街へ/6 満洲から蟻の街へ/7 「蟻の街」という舞台で/8 恥ずかしさと愉快さ/9 屑を喰う//第5章 葬送の賑わい―生態学史のなかの「分解者」/1 生態系という概念/2 生産者と消費者と分解者/3 「分解者」とは何か/4 「分解者」概念の誕生/5 葬儀屋とリサイクル業者/6 シマウマとサケとクジラの「葬儀」/7 人間の「葬儀」/8 糞のなかの宝石/9 ファーブルの糞虫/10 分解世界としての蛹

第6章 修理の美学――つくろう、ほどく、ほどこす/1 計画的陳腐化/2 減築/3 犁のメンテナンス/4 メンテナンスと愛着/5 金繕い/6 器の「景色」/7 「ほどく」と「むすぶ」/8 「とく」と「とき」//終章 分解の饗宴/1 装置を発酵させる/2 食現象の拡張的考察/3 食い殺すことの祝祭

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