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☆2020/1/24更新☆
≪期日前投票が始まり、2月2日に投開票される京都市長選に寄せて≫番外編 【読書雑記606】『御粽司・川端道喜とわたし 小さな暖簾の奥で』(川端知嘉子、淡交社、1500円+税)。室町時代の創業以来、長きにわたり御所御用を承ってきた「御粽司」(おんちまきし)の川端道喜。著者は16代の妻で、絵描きでもある。この人だから書けた、この人以外には書けなかった本。「京都」を深いところで知ることができる恰好の著作、好著。
現在でこそ、水仙粽や羊羹粽、そして葩餅(はなびらもち)に代表される茶の湯の菓子を手がけているが、「東京遷都」までは、宮中歳時で用いられる菓子をほぼ一手に調製していた。同家の代表を務め、伝統を受け継ぎ、次代へとバトンタッチすべく奮闘している著者が、この家の歴史(京都の移り変わりでもある)や作り続けられてきた菓子の紹介をする。
また、著者と川端道喜との縁や、伝統を受け継ぐことの意味、菓子や菓子を作りながら、一方で今も描き続ける日本画や画のモチーフとなる巨木や破損仏などへの想いも綴る。文中の画も楽しい。
<茶室という小さな空間で何が話されたのか、利休がお茶を点てる音だけであったのか知る由もないが、京都の町を守るべく、町衆を守るべく、何らかの交流があったように思うのは、岩波新書『和菓子の京都』を著した十五代道喜だけではないと思う(十五代は、1989の市長選時「21京を創る懇話会」を組織、代表になった。その力もあって、321票差まで市役所候補を追い上げた>
<どうも最近の京都は「京都」というブランドを上手く利用する資本に搔き回されて、「京都」というテーマパークのようになってしまった気がする><時代に取り残されたように道喜の菓子は引き算で出来ている><起請文が伝える内容は何とも時代と逆行するものだが、ここに忘れてはいけない、特に京都のように永く古い文化を培ってきた地では、失ってはいけない哲学、心があると思う>
Smart Renewal History by The Room
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