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☆2020/1/31更新☆
≪期日前投票が始まり、2月2日に投開票される京都市長選に寄せて≫番外編 【読書雑記607】『山中人フ話』(加藤周一、福武書店、1200円)。<私は一九八〇年から毎月一回、『朝日新聞』に短文を寄稿・・それを「山中人フ話」 と称し・・“フ話”は無駄話、″妄語″は世迷いごとと いうほどの意味であるが、私はなるべく世間に流行らない話題をとりあげ(たとえば英国の怪談 や八重山群島の神事)、新聞雑誌に度々出て来る話題については今の日本国の偉い方々の意見と はちがう意見−それは大抵少数意見でもあるが−を述べようと心がけた(たとえば日米関係 や今日のソ連について)。要するに、折りにふれての、つむじ曲がりのお喋りということになる>
「福永武彦の『百花譜』」(1981年9月)は、書評である。と同時に、親しい友人の追悼文でもある。書評としても一級、病弱な友人に対する深い理解を表して美しいこと、比類がない。しかも、この短文は、福永武彦と同様な立場にある病者や障害者を鼓舞する。病気や障害の受容、そこから立ち直る営みのモデルを描き出している。<環境を変えることはできないが、環境の意味を変えることはできる>のだ。
<病床の福永の文章は力強く、どこにも嘆き節を含まず、文章としてほとんど爽快であった。病床の彼の表情は、私の知るかぎり常に、明るかった。それは訪ねてきた友人に対する強がりでも、努めて粧った表情でもなかった、と思う・・意志が明るさをつくったのではない。『百花譜』の世界を築きあげた意志と、極度に孤独で極度に人に対して温かいあの一種の明るさとは、同じ根源から発していたのである。/『百花譜』は、福永武彦の世界に対する基本的な態度、その人間の自由と尊厳の、揺るがし難い証拠である、−−少なくとも私にはそう見える。>。
加藤周一は、銀閣寺近くの日本家屋と庭園での、『革新的保守市政宣言』の出版記念会の呼びかけ人であり、東京から参加してくれた。
Smart Renewal History by The Room
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