編集長の毒吐録
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☆2020/2/12更新☆

【読書雑記610】『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』(雨宮処凛/聞き手、神戸金史・熊谷晋一郎・岩永直子・杉田俊介・森川すいめい・向谷地生良/語り手、大月書店、1600円+税)。相模原やまゆり園障害者施設殺傷事件をめぐる論者の意見が収録されている。

この事件を切り口として、雨宮処凛と6人の論者が語り合った記録だ。全員が、障害者、精神疾患、高齢者などの介助や治療、取材に長く取り組んできた人であり、あるいは障害当事者だ。事件で命を奪われた側に立って、それを生み出した社会を見つめる。

「障害を持つ人たちの発する言葉を、彼は聞くことができなかった。それに、人の声が聞けなかっただけでなく、自分の声も聞けなかったのではないかと思います」(熊谷晋一郎)、「国の借金が膨大だ、だから命の選別も仕方ない。あるいは、それぞれ我慢して耐え忍ぶしかない。そういう短絡はみんなの幸せには結びつかない」(森川すいめい)、「典型的な優生思想のロジックで脚色した即席のステージ≠ナ、彼はそこに居直っている」(向谷地生良)。

序章 私自身の「内なる植松」との対話(雨宮処凛)/1章 植松被告は私に「いつまで息子を生かしておくのですか」と尋ねた 神戸金史(RKB毎日放送記者)×雨宮処凛/2章 「生産性」よりも「必要性」を胸を張って語ろう 熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術センター准教授、小児科医)×雨宮処凛/3章 命を語るときこそ、ファクト重視で冷静な議論を 岩永直子(BuzzFeed Japan記者)×雨宮処凛/4章 ロスジェネ世代に強いられた「生存のための闘争」の物語 杉田俊介(批評家、元障害者ヘルパー)×雨宮処凛/5章 みんなで我慢するのをやめて、ただ対話すればいい 森川すいめい(精神科医)×雨宮処凛/6章 植松被告がもしも「べてるの家」につながっていたら 向谷地生良(浦河べてるの家ソーシャルワーカー)×雨宮処凛

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