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☆2020/2/13更新☆
ドキュメンタリー映画『PURISON CIRCL』(監督・制作・編集/:坂上香、2019年、日本、136分)は、官民協働の新しい刑務所である「島根あさひ社会復帰促進センター」の受刑者を描いた作品。警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。
しかしながら、その真の新しさは、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを日本で唯一導入している点にある。なぜ自分は今ここにいるのか、いかにして償うのか?彼らが向き合うのは、犯した罪だけではない。幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶だ。それを、受刑者は語ることによって、痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情と向き合い、それらを表現する言葉を獲得する。秀作。
監督は、『ライファーズ 終身刑を超えて』『トークバック 沈黙を破る女たち』など、米国の受刑者を取材し続けてきた。日本初となる刑務所内の撮影許可が降りるまで6年の時間が必要だった。塀の中のプログラムに2年間密着したカメラは、窃盗や詐欺、強盗傷人、傷害致死などで服役する4人の若者たちの姿を克明に描き出す。
自らの犯罪に向き合うということは、さらに人と人が繋がるいうことはどういうことなのか。じっくりと味わうことも出来るドキュメンタリー。大げさな演出を排する。このような更生教育が拡がることを望む。
Smart Renewal History by The Room
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