編集長の毒吐録
<<前のページ

☆2020/2/26更新☆

「加藤周一文庫」は、京都の立命館大学衣笠キャンパスの平井嘉一郎記念図書館にあります。書籍・雑誌類と手稿ノート・資料類が収められていますが、自宅近くだということもあって、ここをしばしば訪ねます。20000点を数えるという書籍・雑誌類、約12,000点は開架式閲覧室に配架され、自由に閲覧し貸出を受けられます。約8000点は閉架式書庫に収蔵されており、閲覧はできますが、貸出は不可です。

この「文庫」のいいところは、「静か」であることです。図書館自体が「静か」ですが、ここの「静か」さは格別です。ここに訪れる人はわずかです。僕は何度も利用していますが、これまで一度も人とあったことはありません。時間のある限り本を読みます。彼の著作の場合もありますし、献呈本の場合もあります。時には借り出すこともあります。本に囲まれるという至福の刻を過ごします。

<言葉は、どれだけ鋭くても、またどれだけ多くの人々の声となっても、一台の戦車させ破壊することができない。戦車は、すべての声を沈黙させることができるし、プラハの全体を破壊することさえできる。しかし、プラハ街頭における戦争の存在そのものをみずから正当化することはできないだろう。自分自身を正当化するためには、どうしても言葉を必要とする。すなわち相手を沈黙させるのではなく、反駁しなければならない。言葉に対するに言葉をもってしなければならない。1968年の夏、小雨に濡れたプラハの街頭に相対していたのは、圧倒的な無力な戦車と、無力で圧倒的な言葉であった。その場で勝負のつくはずはなかった。>(『言葉と戦車』筑摩書房)

Smart Renewal History by The Room

閉じる

First drafted 1.5.2001 Copy right(c)福祉広場
このホームページの文章・画像の無断転載は固くお断りします。
Site created by HAL PROMOTIN INC