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☆2020/2/25更新☆
【読書雑記614】『証言 治安維持法 「検挙者10万人の記録」が明かす真実』 (荻野富士夫/監修、 NHK「ETV特集」取材班/著、NHK出版、900円+税))。治安維持法の名で、自由は奪われた。20年におよぶ運用実態を、地域・年代別にまとめた。「自由はこうして奪われた~治安維持法 10万人の記録~」の書籍化。
1925年に制定された治安維持法。当初は「国体の変革」や「私有財産制度の否認」を目的とする結社―主に共産党を取締り対象としていたが、廃止されるまで対象は一般の市民にまで拡大した。普通に暮らす人が次々に検挙されたのはなぜか。当事者や遺族の生々しい証言と、公文書に記載された検挙者数のデータから検証する。帝国日本の植民地での実態も興味深い。
<第一章から第五章では、法律が運用された20年間の検挙者数のデータを分析して特徴的な変化を示す時期や地域を各章ごとに絞り込み、出来事を証言者を通して描く。同時に、証言者たちがなぜ検挙されたのか、時代的な背景や法律の運用状況を専門家の見解を交えながら検証する。第六章では、治安維持法をはじめとする戦前・戦中の治安体制と戦後の治安体制の連続性について検証、終章では登場した証言者の戦後の歩みを見る。戦後七十四年が経過したいま、当時を知る方々から話を聞くことはますます難しくなっている。しかし時代が遠ざかれば遠ざかるほど、実際に出来事を体験した人の生身の感覚こそが重要性を増していくのではないだろうか。さらに強調しておきたいのは、今回取材に応じてくれた証言者の誰もが、治安維持法は遠い昔の無関係な法律ではなく、その時代を知らない私たちにも重要な示唆を与えるものと考えていたことだ。本書がかつて存在した治安維持法と、この法律によって人生を変えられた多くの人の声の一端を伝え、これからの社会を考えるための一助となることを願っている>(「はじめに」)。
Smart Renewal History by The Room
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