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☆2020/3/27更新☆
【読書雑記223】『「日本国憲法」を読み直す』 (井上ひさし・樋口陽一、岩波現代文庫、1040円+税)。「日本国憲法は占領下にアメリカに押し付けられたもので、時代にそぐわない」「第九条を改正して参戦できるようにすべき」などの改憲論がまかり通る今、憲法を読み直したい。それは、国家と個人の関係を問い直す絶好の機会でもある。同年生まれの友人で“少国民体験”を共有する井上ひさしと憲法学者が語り合った記録。好著。
ひさしが書いた「プロローグ」は、「憲法の前に剣法の話をちょっと」となっている。江戸時代に260年も続いた「泰平」(国全体を巻き込むいくさがなかった)の時代があった。その時代には、「剣を抜かない」のが、最高の剣法と言われていた。如何にもひさしらしい「憲法論」に感心した。
江戸時代を出発点として、戦後、戦争を禁止する条項を憲法に入れるように、幣原首相が、提案した事実も、アメリカは、「憲法を変える」方針を憲法成立後1年くらいで持ったらしいが、今もって日本国民の抵抗により、明文改憲を許していない事実は重い。日本人の平和を望むエネルギーを現わしているのではないか。本書の基になった「講談社」版は26年前の1994年に出版されたが、そのとき護憲の立場からの本は、ほとんど出版されていなかった(最近は護憲の本が多く出版されるようになった)。護憲の立場に立つ記念碑的なこの本は、岩波書店から再出版された。
Smart Renewal History by The Room
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