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☆2020/3/29更新☆
【読書雑記624】『「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし』 (今村忠純・島村輝・大江健三郎・辻井喬・永井愛・平田オリザ/著、小森陽一・成田龍一/編著、集英社新書、980円+税)。 没後10年を迎える(2020年4月9日)井上ひさしの作品を真ん中に置いての討論の1冊。追悼に相応しい企画、好著。収録されているのは、井上ひさしを交えた討論(特別付録〈座談会「二一世紀の多喜二さんへ」−「組曲虐殺」と「小林多喜二」、井上ひさし最後の座談会〉。井上ひさしとノーマ・フィードが出席している)と没後2年以内の四編と2019年の一編。
大江健三郎は、「戦後日本社会の抱えてきた問題、実に大きい問題が、たとえば天皇の戦争責任が問いかけられている』と言い、平田オリザは「東日本大震災で私たち劇作家が何より痛感したのは、井上ひさしさんの不在なんです」と言う。ひさしが生きていたら、その目には、今の日本の状況がどう映っていただろうか。没後10年、今、読み直したい井上ひさし文学。
「生き残った被爆者の方々が、なぜ「申し訳ない」というのか、という問いがありました」(小森陽一、『父と暮らせば』)、「人がいかに生きうるかという実存性と、歴史的条件の中で枠づけられているという歴史性の両方を合わせて問題を把握していた」(成田龍一、『組曲虐殺』)、「「座談会 昭和文学史」の第二回、ゲストに加藤周一さんをお迎えしたとき・・テーマは「大正から昭和へー近代を物語る言葉」でした」(小森陽一、『座談会 昭和文学史』)とは文中の発言。
はじめに 小森陽一/第一章 言葉に託された歴史感覚 今村忠純 島村輝/第二章 “夢三部作”から読みとく戦後の日本 大江健三郎/第三章 自伝的作品とその時代 辻井喬/第四章 評伝劇。一世紀の多喜二さんへ」井上ひさし最後の座談会 井上ひさし ノーマ・フィールド/おわりに 成田龍一/年表:井上ひさしの足跡
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