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☆2020/4/15更新☆
【読書雑記628】『天皇の「代替わり儀式」と憲法』 (中島三千男、日本機関紙印刷センター、900円+税)。昨2019年5月は、お祝いムードに沸いた。安倍政権による天皇の政治利用は、秋の即位礼、さらに大嘗祭に向けたキャンペーンで強まった。国民主権の憲法下、批判的視点を持ち、冷静に対処する上での道標としてこのブックレットは書かれた。
御用学者が多いなか、著者の主張は、どんな「代替わり儀式」が行われるかという研究に終わらない。憲法と照らし合わせ、自民党、安倍首相が進める、明治時代からの国家神道、それに基づいた「天皇制正統神話」の理念により近づけ、日本を「戦争をする国」にすべく天皇を政治利用するような行為はダメという論考。
例えば「大嘗祭」。政府は宗教的性格が強いということで戦前のように国事行為にこそしなかったが、わが国の安寧と五穀豊穣を祈念するものとして公的行事としては認めた。だが、この儀式は天照大神が座す神座と対面して天皇が神の神性を身に付ける神人共食の儀式で、戦前の国定教科書には、これにより「わが大日本が神の国であることを明らかにするもの」と記されていた。戦前の形をそのまま踏襲したこの儀式は、現憲法の象徴天皇制に反した。やるなら私的にやるべきだったが、ねじ曲げた解釈で公的行事と認めた。
Smart Renewal History by The Room
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