編集長の毒吐録
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☆2020/5/10更新☆

【読書雑記634】『朝鮮戦争に「参戦」した日本』(西村秀樹、三一書房、2450+税)。朝鮮半島での戦争では、小笠原諸島(施政権はなかったが)を含む日本の米軍基地がなければ、戦争は不可能だった。米軍基地から米軍を中心とする「国連軍」が、朝鮮半島をめざした。そして、今なお「国連軍」の基地が、日本にある

朝鮮戦争、その後の日本は、アメリカの基地国家となった。いま、「新たな戦前」がささやかれている。朝鮮戦争の最中に、「吹田枚方事件」と呼ばれる反戦運動は起きた。「本書を支えているものは、著者の執念と情熱、そして対象への愛だと思う」とは、本書に寄せた作家・金石範の言だ。

<米ソの冷戦を背景にした「国際内戦」(言語矛盾のような言葉)です。南北朝鮮で膨大な死傷者が生み出され、その数、合わせて350万人とも500万人とも。離散家族は1,000万人に達します。これをきっかけに、日本は再軍備し憲法9条が実質的に変容。朝鮮特需で日本経済は大いなる「恩恵」を受けました(ちなみに、「先の大戦」で日本人の犠牲者数310万人、アジア太平洋諸国は1,900万人と推測されています)。この戦争は今も継続状態のまま。「北朝鮮脅威論」(「中国脅威論」ともあいまって)は、日本国憲法の「改定」問題や沖縄の米軍基地や国連軍地位協定問題などと密接にむすびつき、現代日本に大きな影を落としている事実を明らかにします。「忘れられた戦争」とも言われますが、米朝首脳会談の大きなテーマは朝鮮戦争の終戦処理です。東アジアの安全保障を考える上で、朝鮮戦争と日本をきちんと見つめることは現代的な課題です>と著者は言う。

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