編集長の毒吐録
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☆2020/9/8更新☆

【読書雑記668】『帝銀事件と日本の秘密戦 』(山田朗、新日本出版社、2000円+税)。戦後間もない時期に起こった帝銀事件に、著者は『甲斐捜査手記』を手がりに読み込み、犯罪史上、例を見ない大量死亡事件に迫る。死亡原因(毒物を被害者は飲んだ)を特捜部は探り、日本の秘密戦機関・部隊の「成果」と考えるに至り、その中に731部隊(関東軍防疫給水部)の関係者がいたのではとも考える。

第一章 帝銀事件捜査と『甲斐捜査手記』/第二章 捜査で浮上した日本の化学戦部隊/第三章 捜査で浮上した日本の生物戦部隊/第四章 捜査で浮上した日本の謀略戦部隊/第五章 捜査の終結:捜査の二つの壁/帝銀事件捜査・裁判年表

1948年1月26日(昭和23年)午後3時過ぎ、閉店直後の帝国銀行椎名町支店に、東京都防疫班の白腕章を着用した中年男性が姿を現し、厚生省技官の名刺を差し出した。そして、男は、「近くの家で集団赤痢が発生した。GHQが行内を消毒する前に予防薬を飲んでもらいたい」「感染者の1人がこの銀行に来ている」と述べ、行員と用務員一家の合計16人(8歳から49歳)に青酸化合物を飲ませた。その結果11人が直後に死亡、さらに搬送先の病院で1人が死亡し、計12人が殺害された。犯人は現金16万円と、安田銀行板橋支店の小切手を奪って逃走した。

しかしながら、現場は集団中毒の様相を呈していたため混乱し初動捜査が遅れ、身柄は確保できないばかりか、現場保存も出来なかった。なお小切手は事件発生の翌日に現金化されていたが、関係者がその小切手の盗難を確認したのは事件から2日経った28日の午前中だった。青酸化合物の来歴は不明のままだ。

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