編集長の毒吐録
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☆2020/9/9更新☆

『帝銀事件と日本の秘密戦』(山田朗、新日本出版社)の書評を受けて(4回連載。❶)。1996年7月、京都コンサートホールで行われた混声合唱組曲「悪魔の飽食」(森村誠一原詩、池辺晋一郎・神戸市役所センター合唱団/編詩、池辺晋一郎作曲・指揮)のメンバーとして舞台にたったことがある。「日本人よ、731部隊を問え」で始まる合唱曲は7つの部分に分かれていた。それは731部隊(石井部隊)への理解を深める合唱でもあった。

731部隊の狂気をうたいあげる第2章、犠牲者の中国人男性が一人娘に寄せる哀愁を歌った第3章、「実験材料として殺されるよりも人間らしく死にたい」と訴える「マルタ」、毒ガス実験で殺されるロシア人母子を、ストップウォッチ片手に観察する731部隊員の心情を歌った第5章、犠牲者を追悼する哀しくも美しい第6章、高らかに平和と希望を歌いあげるメロディーが魅力的な最終章。

会場を埋め尽くした1500人を超える聴衆を相手に、僕らは歌った。この年の2月に行われた2回目の京都市長選挙に敗北してからの練習だったが、心のうちのモヤモヤを吹っ飛ばす力を合唱曲はもっていた。黒い蝶ネクタイを締めて、黒服だった。多彩な歌詞と自由自在のメロディーが深く印象に残っている。

それまで、731部隊の中国での蛮行、731部隊の細菌戦、「暁に祈る」事件が京都に関係していること、731部隊と石井四郎・軍医中将が京大と密接な関係を持っていること、戦後の「帝銀事件」と731部隊との関係など、「石井部隊」のことは知っていた。森村誠一の『悪魔の飽食』も読んでいた。しかしながら、それを題材にした歌を歌うことになることを、考えたこともなかった。(❶終わり。続く)

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