編集長の毒吐録
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☆2020/9/24更新☆

<きのうを振り返りあしたを見晴るかす16>【自死した友人】知り合いが、彼が自死したことを教えてくれました。僕にとって自死した友人は“牛若丸”のような人であり、ある意味では「目標」でもありました。この15年ほどは没交渉でしたが、その間も気になる存在でした。

初めての出会いは、彼が20歳のころ、1965年のことです。学生服がよく似合う「学生らしい学生」でした。彼は京都段階の学生組織の代表として、僕らの前で来賓としての演説をしました。大教室の演壇で彼は、よどみなく自説を述べました。「白面の美少年」よろしくの彼の弁舌はあくまで鋭いものがありました。その舌鋒は、あたかも立て板に水、言い淀むということがありません。同年輩の学生が滔々と演説するさまは、僕に深い印象を残しました。

その後、彼とつきあうことになりましたが、彼の物事を額面通りに受け取ることのない言説とモノの考え方に教えられました。というより、シャープで、剃刀のような切り口を見せる立ち振る舞いが魅力的でした。僕らは、必ずしも、周りの人がうらやむ友人関係は結ばなかったのですが、僕は彼を仰ぎ見ることをやめませんでした。せいぜい、新年会で顔を合わせる関係が何年も続きました。

彼の頭の良さゆえ、人との摩擦は絶えませんでした。人生半ばでの失敗もあったようです。電話で話をすることが続きました。しかしながら、物事をありのままに見つめるという姿勢は変わりませんでしたし、同じ姿勢を取り続けた僕への態度も変わりませんでした。

「白面の美少年」にも生活が重くのしかかってきたのでしょうか。いつの間にやら、顔を見なくなりましたし、姿も見せなくなりました。好ましい話が伝わってはきませんでした。彼のことが話題にのぼるたびに、僕は「擁護派」でしたが、それは少数でした。それでも僕の評価は変わりませんでした。「自死」をかみしめています。

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