編集長の毒吐録
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☆2020/10/6更新☆

【読書雑記675】『心友  素顔の井上ひさし 』(小川荘六、作品社、2200円+税)。井上ひさしは、「荘六さんはいわば『心友』ともいうべき存在で、上智に入った唯一の取柄は、彼と出会ったことだ」と言っている。「上智」は「上智大学」(じょうちだいがく)の意、カソリックの大学だ。2人は大学で出会った。以来54年間、交流は絶えなかった。二人の関係を、著者は「心友」と言う。「親友」とも「真友」とも「信友」とも違う「心友」だ。僕にも「心友」がいるが・・。

筆者は、2010年に亡くなった井上ひさしの「心友」、よくもまあこれだけ気の合う「友」に巡り会えたものだと感嘆。大学時代の教授や神父、仲間との交流から始まり、卒業後も仲間の結婚式とあれば漫才司会で盛り上げ、生まれたばかりの子ども家庭に押しかける。会えば時間を忘れて議論を交わす。幾葉もの写真も生きている。

ひさしにとって、著者らとの付き合いは、「わたしの大学」ではなかったか?小説「モッキンポット師」のモデルとされるポール・リーチ先生らとの思い出や、終生つづいた大学の仲間たちとのエピソードが語られる。亡くなるまで54年間、友情を保ちつづけられたのは「奇蹟」といえようか。2020年は井上ひさしの没後10年、本書は親友の筆による「素顔の井上ひさし」と言えよう。

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