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☆2020/10/14更新☆
特別企画展『小野竹喬・春男−父と息子の切ない物語− ONO CHIKKYO・HARUO- Heartful Story of Father and Son –』を観てきた(〜11月23日、堂本印象美術館)。小野竹喬(ちっきょう)もさることながら、春男の作品に無言で向き合える数少ない機会と思ったからだ。期待にたがわぬ作品がそこにはあった。立命館大学国際平和ミュージアムや長野県上田市の「戦没画学生慰霊美術館 無言館」で「対面」した作品とは違うものが展示されていた。
竹喬(1889年〜1979)は自然を見つめ、明るく澄んだ色彩で風景を描いた。岡山県笠岡に生まれた竹喬は、14歳のときに日本画家になると決意して京都の竹内栖鳳に師事した。竹喬には、日本画家をめざしていた長男・春男(1917年〜43)がいた。春男は京都市立絵画専門学校を卒業し、画家として歩みはじめた矢先に太平洋戦争の召集令状が来て、翌年に26歳で死んだ。才能豊かで、期待をかけていた息子を失った竹喬は深い悲しみに暮れた。その後、しばしば樹の向こうに広がる青い空と白い雲、樹(1本の場合も複数もあった)を描いた(その何点かを観ることができた)。そこで春男の魂を感じとっていたのではないか。
本展は、生涯にわたって移り変わる自然の様子を穏やかなまなざしで描き続けた竹喬作品を中心に、2015年に笠岡市立竹喬美術館で初公開された春男の素描やスケッチの数々をあわせて紹介する京都初の展覧会、父子の「交流」を、絵を通して、ともに過ごした衣笠(僕もいま住んでいる)の地で感じることが出来た。春男の「茄子」は画面に一杯に広がる構図が効果的、 41年頃に描かれた「人形劇 女性座像(絶筆)」は鮮やかな色使いが印象的だった。戦争許すまじ!
Smart Renewal History by The Room
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