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☆2020/10/29更新☆
【読書雑記682】『食べるとはどういうことか 世界の見方が変わる三つの質問』(藤原辰史、農文協、1500円+税)。「食」(食料)と「食べる」(身体の維持)を切り口に、社会と人間を考えてきた著者が中学生高校生と、討論をすることで考える(著者はここでは、京大のフジハラ先生)。白熱の「食と農の哲学」と言えようか。
著者は、人間をチューブに見立てたりして、台所や畑を含めて食をトータルに理解するなどして、「食べる」という行為に新たな視点を提示してきた。本書では、「食べる」ということをめぐる3つの問いを軸に、中高生とともにその本質に迫っていく。そのなかで、現代というのは、食べる場と作物や動物を育てる場(動物を殺す場含む)が切り離された社会であることが浮かび上がってくる。それでは未来の食はどうなっていくのだろうか。著者は中高校生との議論を再現した。 座談会に参加した若者は、藤原さんから出された事前アンケートに答えていた。それは、「今までに食べた中で一番おいしかったものは何ですか」と「その理由」という問い。藤原さんは「これから皆さんに自己紹介と、アンケートに書いたことをしゃべってもらいます」と告げると、「まず私から」と、話し始めた。
「私は、今、41歳です。島根県の農家で生まれました。おじいちゃんが、パッカー(三輪トラック)で畑や田んぼによく連れていってくれました。夏になると、じいちゃんが畑のトウモロコシをボキッともいで、コンロで炙ってくれました。パッカーって何をのせると思う? 牛のうんちです。そういうにおいをわあーっとかぎながら、トウモロコシをばりばり食べたというのが、印象に残っている、いい思い出です。さて、皆さんはどうですか?」。
12歳のコーセイさんの答え。「お母さんの作った新じゃがのフライドポテト。できたてのほかほかのが食べたいなーと言ったら、サッカーの帰りとかに作ってくれて」。「お母さん、毎回は作れないでしょ?」と突っ込む著者。「だから、サッカーの試合で優勝したときとか、すごいことがあったときに、おめでとう!みたいな感じで」。そんなやりとりが続く。
Smart Renewal History by The Room
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