編集長の毒吐録
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☆2020/11/5更新☆

【読書雑記684】『アメリカの制裁外交』(杉田弘毅、岩波新書、840円+税)。アメリカの外交は、経済制裁、特にドル覇権を背景とする金融制裁を抜きには語れない。しかも北朝鮮やイランなどの敵対国やテロ集団にとどまらず、根拠法の「国外適用」により第三国の企業や個人も制裁の対象になり得る。なぜ経済制裁は多用されるのか。「米国第一主義」の中身が分かる。アメリカの制裁外交を扱った本。好著。

第1部は、制裁の概要。第2部は、アメリカが実施してきた制裁、とりわけ貿易の制裁から金融の制裁へと重心を移してきた歴史。第3部は、制裁の負の側面。第四部は、金融制裁の効果と基軸通貨としてのドルの行方。断片的には知っていた事項が納得感をもって示されている。著者は共同通信の特別編集委員であり、記者として取材源を明かせないということもあるのかもしれないが、取材対象者の実名をあげている箇所も少なくなく、どうしてこれだけの専門的な本なのに注や参考文献を示さなかったのか。

<第1部 司直の長い腕//第1章 孟晩舟はなぜ逮捕されたのか/第2章 経済制裁とその歴史//第2部 アメリカ制裁の最前線/第3章 米制裁を変えた9・11―テロ/第4章 マカオ発の激震―北朝鮮/第5章 原油輸出をゼロに―イラン/第6章 地政学変えたクリミア制裁―ロシア//第3部 制裁の闇/第7章 巨額の罰金はどこへ/第8章 冤罪の恐怖/第9章 米法はなぜ外国を縛るのか//第4部 金融制裁乱用のトランプ政権/第10章 制裁に効果はあるのか/第11章 基軸通貨ドルの行方>

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