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☆2020/11/11更新☆
【読書雑記686】『女性たちの保守運動 右傾化する日本社会のジェンダー』(鈴木彩加、人文書院、4500円+税)。“異議あり!”との声をあげる人々の動きに著者は焦点を当て、「なぜだろう?」「何が目的なのか?」と問いかける。活発に広げられる保守運動に、ジェンダーの視点から著者は迫る。彼女たちはなぜ立ち上がったのか?
「家族」「性差」を強調する保守に、その社会的抑圧を経験した女性が、なぜ合流するのか。 本書はその実態に、戦後の保守運動史、現代フェミニズム理論、保守派の言説分析、保守団体の動きという視点から迫る。女性による保守運動の論理を明らかにし、ジェンダー論に新たな視点を付け加えた社会学的探究と言えようか。
「保守運動内において、女性参加者たちの独自の主張は必ずしもつねに認知されているわけではなく、他の男性参加者の声が優先され女性たちの声は埋もれてしまいがちである。しかし、これまで論じてきたように、保守運動の参加者のジェンダーに着目するならば保守運動は一枚岩ではないことが分かる。女性たちの保守運動は両義的な存在であり、他の男性中心団体や男性参加者と同じ主張を掲げる一方で、彼らと対立する側面も併せ持っているのであると著者は言う。
「保守運動」への女性の参加が目立つようになってきたが、それは「主婦である普通の私」が脅かされるからと言う説明が多かったが、著者はそこに疑問を持つ。研究の対象は、男女共同参画への反対運動と「慰安婦」問題への抗議活動である。
Smart Renewal History by The Room
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