編集長の毒吐録
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☆2020/12/11更新☆

【『「連れ合い」と「相方」―「介助される側」と「介助する側」』(井上吉郎・池添素、ウインかもがわ<〒602-8119 京都市上京区出水通堀川西入亀屋町 321 TEL075-432-3455  FAX075-882-8053 メール saito@win-k.co.jp>、1200円+税)普及の記⓮】 本を読んでの感想です。

<井上吉郎さんとは、直接お会いしたことはありませんが、吉郎さんの実兄・泰さん(東北大学工学部教授・故人)には、僕が東北大生協の専務理事をしていたとき、教員理事として支えていただきました。また泰さんのお嬢さんはみやぎ生協に就職、僕がみやぎ生協経理部長をしていたときには経理部システム室の職員でした。そんなご縁でこの間、井上吉郎さんのFBをフォローさせていただいています。その吉郎さんから、新しい本を刊行されるとご連絡をいただき、さっそく版元から取り寄せて、今、傍線をいっぱい引き、付箋をいっぱいつけて、読み終えました。序章で、池添さんは<若いころ学生運動で出会っていたが、障害者運動で再会した井上との入籍・再婚は2006年2月、同月に沖縄県石垣島に新婚旅行に行き、5月28日に披露パーティーを開いた。それから3か月後、私の生活は一変した。>と書いています。なんという運命でしょう。「(2006年8月)脳幹梗塞で倒れ生死をさまよった時、連れ合いの「死なないで!」という大声での叫びもあって、僕は「生」の世界に引き戻されました。だから僕の命は、僕ひとりのものでなく、連れ合いのそれでもあるのです」(「第2章 自死を図った」)という井上さんの言葉が感動的です>

<「介助される側」と「介助する側」>という夫婦が、ふたりで考え、行きぬいていく様を描いたこの本は、僕にたくさんの勇気と感動と、多くの気付きをもたらしてくれました。読み終えて、「理不尽でどうしようもないことに出会うのが人生で、それが人間らしいというのではないだろうか」(「終章 胃ろうで「食べる」)という池添素さんの言葉を、何度も何度も噛みしめています>

<「知識」を得るだけではなく、その著者にしか書けない物語に接することで、自らのこれまでを顧み、これからの「知恵」を得る。ここに、読書の楽しみがある。これまでも、吉郎さんからいただいた著作『障害は迷惑じゃない』『無言宣伝』『もう一つの明治維新150年』『書評三題話』『近代の京都を創った人たち』『入院の記』、池添素さんからいただいた『いつからでもやりなおせる子育て/第2章』は、そのように読ませてもらった。さて、今回得た「知恵」は・・・?やっぱり、「ポジティブに考える」「前向きに生きる」こと。そうすれば、人生は豊かになる。もうひとつは、「自分の気持ちに正直に生きる」。長年障害者運動に携わってきた素さんが、いざ「相方」の障害に直面し、向き合うなかで、「相方」との関係でも、社会との接点でも、きれい事ばかりではない、戸惑いや不安や反発など、「正直な気持ち」を書いておられることに、深く共感する。1989年の京都市長選挙で「21京を創る懇話会」の事務局長として活動されたとき、初めて吉郎さんのことを知った。93年・96年・00年と、自ら立った3回の選挙もふくめ、この4回の市長選挙は、92年に左京地区委員長となり、97年に京都府委員会に異動した僕にとって、「市民との共同」を実地に学ぶ「学校」だった。選挙に負けても、自らを「市長浪人」と称して、「マラソンスピーチ」や「市議会傍聴」を手がける。障害を得ても「無言宣伝」を始め、続ける。このポジティブな生き方。企画力。4092票差で敗れた96年市長選。左京区と北区が相手候補に勝ち、左京では52.1%、3969票の差をつけた。過半数をとるとはこういう活動なんだということを、教えてもらった。「民主市政の会」のある幹部が、「左京がもっと票を取っていたら勝てたのに」と言った。内心反発したけれども、その悔しさをバネに、僕も「前向きに」生きてきたつもりだ。吉郎さんが病に倒れる2年前の参議院選挙、「西山とき子の議席は、京都の共産党の生命線だろう」と、吉郎さんから叱咤激励され、吉郎さんは、鶴見俊輔さんをはじめとするビッグネームを選挙に引っ張り出してくれた。勝てなかったけれど、2013年の倉林明子勝利で「生命線」を取り戻せた。障害を得る前も後も、「前向きに」「ポジティブに」生きた吉郎さんでさえ、「自死を図った」ことが、この本には書かれている。気どらず、格好をつけず、こういうことを淡々と書くところが、また凄い。新自由主義の横行によって、障害者差別が再生産されているもとで、あの相模原の事件をめぐって、「僕らは『美しい死』のためではなく、『納得できる生』を求めてきた」「僕は『生と死の線引き』に反対です」と喝破する吉郎さんの「知恵」を学んだ>

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