編集長の毒吐録
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☆2020/12/12更新☆

【読書雑記694】『野球盲導犬チビの告白』(井上ひさし、実業之日本社文庫、1000円+税)。アングリ、開いた口が閉まらない奇想天外の野球小説。主人公は野球盲導犬(そんな犬がいるのかしら?)、犬の主人は盲目の大スラッガー。守ってよし、走ってよしの大型新人だ。プロ野球界、中でも読売巨人軍は「狼狽」するばかり、居直り、騙し、闇討ち・・。

1979年、横浜大洋ホエールズに入団した新人・田中一郎選手。その成績は?打率4割7分4厘、本塁打56本、打点170点!!の堂々たるモノで、とりわけ巨人戦では、打率8割2分1厘、本塁打21本、打点57点と打ちまくります。そんな田中選手を支える盲導犬チビを案内役として物語は進む。

読売新聞&報知新聞&日本テレビとその傀儡組織である協会、巨人お抱えの評論家による妨害工作もなんのその、田中選手とチビは戦います。「江川事件」を皮肉る為か田中が江川からホームランを打つと予告するのが秀逸。野球小説あるいは盲人を主人公とした小説として面白く、読み応えがあった。古い小説だが、著者の恐るべき資料マニアぶりがよくわかる怪作。戦後野球史から、残るスコアカード、週刊誌の雑記まで、集めた資料から紡ぎだされたファンタジー小説は、ありえない盲目の打者がありえるかもしれないと読者を納得させ、楽しませる。

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