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☆2020/12/19更新☆
【読書雑記697】『加藤周一を21世紀に引き継ぐために』(三浦信孝・鷲巣力、水曜社、6000円+税)。この本は、2019年に東京と京都で行われた、加藤周一生誕100年(1919年9月19日生れ)を記念した国際シンポジウムの記録だ。京都でのそれには参加したが、東京の会合は欠席。
まえがき―加藤周一の呼びかけに応える「少数者」たちの輪/ 第1部 加藤周一の知的遺産と世界の中の日本(「雑種文化論」の射程/ 私たちが加藤周一に負うもの/ 加藤周一をめぐる誤解を晴らす/ 加藤周一を批判的に継承する/ 加藤周一における文学と政治/ 加藤周一を超えて考える、世界の中の日本)/ 第2部 東アジアにおける加藤周一(加藤周一生誕百年記念講演会へのメッセージ/ 講演/ パネルディスカッション/ 寄稿)/ あとがき―加藤周一の呼びかけに応じ「少数者」の矜恃と連帯を保って
本書には、加藤の「知的遺産」を東アジアや世界の中でとらえ直し、今後にいかすことを目的に開かれたシンポジウムの記録が収められている。三浦信孝・鷲巣力が編修し、樋口陽一、小熊英二、イルメラ・日地谷=キルシュネライト、水村美苗、片岡大右、海老坂武、白井聡、孫歌、池澤夏樹らが論じている。
そこで繰り返し言及されるのは、加藤の「高みの見物について」だ。加藤は主張する。留学生は現地の社会に加われないから、必然的に「高みの見物」にならざるを得ない。また加藤は、「いくさ」に対する自分の態度も「高みの見物」だったと言う。日本は負けると見通しており、それは合理的な推論の結果と思っていた。この推論は、『羊の歌』で述べた「事実判断」(不利な戦局)と「価値判断」(必勝の信念)に相当すると指摘している。
「高みの見物」という態度の積極的な意義を、日本の知識人の宿命と絡めて報告したのは白井聡だ。対象を正確に認識するには距離を取らなければならない。それが「高み」だ。ところが西洋由来の学問を修める日本の知識人は対象に一辺倒になるか、日本に回帰するかの二者択一に陥ってしまう。「高みの見物」という道を示したのが加藤だと氏は言う。
Smart Renewal History by The Room
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