編集長の毒吐録
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☆2020/12/25更新☆

【読書雑記699】『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』(ブレイディみかこ、筑摩書房、1350円+税)。EU離脱に揺れるイギリス社会とそこに暮らす、人生という長い旅路を歩む中高年の様子の報告ともいうべきエッセイ。「世界でいちばん愛すべきおっさんたち(&おばさんたち)が、ここにいる。あんたら、最高すぎるんだけど……」とは高橋源一郎の評。

伺い知ることのないブライトンの労働者階級の中高年の日常が描かれる。世代の違いやEU離脱投票をめぐる対立など、面白く興味深く書かれる。差別されても、相手の懐に飛び込むバイタリティに驚いた。知ることの少ないイギリス社会を生きる労働者階級の考えが伝わる。秀作。

これまでのイギリスを描いた作品の多くに、労働者階級の人たちが主人公としては出てこなかった(少なくとも僕が読んだ限りでは)。EU離脱という大問題に直面するイギリス社会の実情や生活している人々がリアルが描かれていて興味深かった。

「あとがき」にあるように、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は「青竹のようなフレッシュな少年たち」だったのに対し、本書は「人生の苦汁をたっぷり吸い過ぎてメンマのようになったおっさんたち」が中心である。おっさんたちは、エリートや富裕層とは違い「地べた」で働きながら、様々な物を得たり、失ったりしている。イギリス人にとってのNHS(国民保健サービス)が持つ意味、ストライキやデモへの参加に対するハードルの低さなど、イギリスやイギリス労働者階級の思考の根底にあるものも見ることが出来る。

Smart Renewal History by The Room

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