編集長の毒吐録
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☆2021/1/8更新☆

【読書雑記702】『人新世の「資本論」』(斎藤幸平、集英社新書、1020円+税)。『資本論』の読み方、あるいは「中身」の理解に新しい点を付け加えた著。従来僕らの理解の外にあった見方を深めた、刺激的な著。気候変動をこのままにすれば、社会は野蛮状態になるだろう。「対策」が急がれる。そのポイントは、資本主義の飽くなき利潤追求だ。しかしながら、資本主義を捨てた社会に繁栄があるのか?著者はこの著で、危機からの解決策を示す。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスに眠っていた。

はじめに―SDGsは「大衆のアヘン」である!//第1章 気候変動と帝国的生活様式/気候変動が文明を危機に/フロンティアの消滅―市場と環境の二重の限界にぶつかる資本主義//第2章 気候ケインズ主義の限界/二酸化炭素排出と経済成長は切り離せない//第3章 資本主義システムでの脱成長を撃つ/なぜ資本主義では脱成長は不可能なのか//第4章 「人新世」のマルクス/地球を〈コモン〉として管理する/〈コモン〉を再建するためのコミュニズム/新解釈! 進歩史観を捨てた晩年のマルクス//第5章 加速主義という現実逃避/生産力至上主義が生んだ幻想/資本の「包摂」によって無力になる私たち//第6章 欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム/貧しさの原因は資本主義//第7章 脱成長コミュニズムが世界を救う/コロナ禍も「人新世」の産物/脱成長コミュニズムとは何か//第8章 気候正義という「梃子」/グローバル・サウスから世界へ//おわりに―歴史を終わらせないために

著者は、人の経済活動が地球環境を破壊するとし、その時代を「人新世」=環境危機の時代と位置付け。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥る。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄がありうるのかと著者は問う。「眠っているマルクスを久々に呼び起こそう。彼ならきっと人新世からの呼びかけにも応えてくれるはずだ」。マルクスの資本主義批判は、様々な学問分野でマルクスの時代に存在しなかった科学的知見も取り込みながら様々な学問分野で影響を与え続けてきた。その意味でも、後期マルクスのエコロジカルな思想の全貌を詳らかに作業は重要だろう。

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