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☆2021/2/3更新☆
【悼】日本自立生活センター代表の矢吹文敏さんが亡くなられた。76歳だった。彼の著作の一つに『車いす視点から社会を斬るー下から目線』(ウインかもがわ)がある。その「視点」の低さと「視点」の鋭さ、確かさに驚ろかされた。骨形成不全症という障害をもって生きてきた著者の「障害者論」でもあるが、同時にここに書かれているのは、「社会」であり、「政治」であり、「ひと」であり、「人生」だ。「障害者自立支援法」なる「自己責任」を押し付ける法律に異議を唱えるなど、この10年間余運動などを一緒に進めて来た身には喪失感が強い。
池添素さん(NPO法人・福祉広場理事長)が書いている。「矢吹文敏さんが『ひゅうまん京都』に連載してくださったエッセイが一冊の本になった。『車いす視点から社会を斬るー下から目線』となんとも矢吹さんらしいネーミング。どんなお話が聞けるか、おやじギャグ満載間違いなし。いつもピリリと辛口でこの腹立たしい社会を一刀両断。本当は連載もこれぐらいで終了と行きたいところだと推察するのですが、次から次へと障害者のみならず、この国に住む人たちのことを置き去りにし、傷つけることばかり起こるので、やめるにやめられずここまで来たというのが本音ではないでしょうか」。
この本で著者は、「矢吹の目」で斬り、改善策、解決策、一言で言えば「もう一つの道」を指し示す。「憤懣」をぶつけるだけでなく、そこには「オールタナティブ」が用意されている。矢吹さんは僕が編集長をしている『ひゅうまん京都』12月号で書いている。絶筆になった。
<世界中の人々がさまざまな悲哀を抱えたまま、新型コロナの年二〇二〇年が終わろうとしている。世界中の航空機が翼を休め、貿易量が激減し、各国の医療現場が崩壊し、わが国ではついに災害派遣と同じレベルで自衛隊の医療班が出動することとなった。それにしても、世界各国のコロナに対する考え方がこれ程明確に異なり、命に対する対応が驚くほど異なり、マスメディアの情報が想像以上に片寄っていることが明らかになり、世界の宗教がコロナの力に対してはほとんど無力であったという現実は、私にとっても大きなショックである。恐らく、これからの政治(特に国連)、これからの教育などに計り知れない影響を与えるに違いない。もちろん、七六歳を越え、さまざまな基礎疾患を持ち、コロナに怯(おびえ)えて滅多に外へ出ることもなく、部屋の中にいる一人の障害者の言うことなど世界に届くわけもないし、誰も興味を示さないだろう
・・どんなに優しい看護士さんたちが傍にいたとしても「家族、友人、会いたい人」にも面会できず、病室で一人寂しく亡くなっていく人たちの気持ちを伝えようとするマスメディアも無い。私自身、肝臓癌の数値も上がり、近いうちに余命宣告もあり得るのだが、訪問医療の先生には「今の状況で入院するのは嫌なので、在宅で逝きたい。」との要望を述べた。こんな中、トランプ大統領は「ワクチン接種を始めるが、米国国民を優先する」と明言した。新たな人種差別を想起する年末の不吉な言葉であった>
Smart Renewal History by The Room
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