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☆2021/3/25更新☆
【読書雑記721】『逃亡者』(中村文則、幻冬舎、1700円+税)。「お前が一週間後に生存している確率は4%だ!」と逃亡者は言われる。逃亡生活は突然始まった。逃亡者は、潜伏キリシタンの末裔に育てられた。アジア太平洋戦争下、熱狂の楽器とも呼ばれ、ある作戦を成功に導いたといわれる栄誉に輝く・・。理不尽が交錯する中、それを隠し持ち逃亡する男にはしかし、ある女性と交わした「約束」があったのだ。
キリシタン迫害から第二次世界大戦、そして現代を貫く大いなる「差別に屈しない意志」がある。作家・中村文則文学の今現在の到達点と言えようか。信仰、戦争、愛などこの創作には、そのすべてが収まっている。 「君が最もなりたくない人間になってもらう」第二次大戦下、“熱狂”“悪魔の楽器”と呼ばれ、ある作戦を不穏な成功に導いたとされる美しきトランペット(僕も昔、トランペットを吹いていた)。あらゆる理不尽が交錯する中、それを隠し持ち逃亡する男にはある女性と交わした一つの約束があった。トランペット“ファナティシズム”、謎の黒服の男、ヴェトナム人のキャバ嬢、新興宗教の教祖、「公正世界仮説」、キリシタン、軍楽隊員のフランス語混じりの遺稿、フィリピン密林での消耗戦…。主人公とトランペットと黒服の男という、3人の関係の上につくられるストーリーは普遍的なもののように思える。
Smart Renewal History by The Room
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