編集長の毒吐録
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☆2021/5/4更新☆

【読書雑記732】『井上ひさしの憲法指南』(井上ひさし、岩波現代文庫、1100円+税)。著者は、「日本国憲法は世界史からの贈物、最高の傑作」と言う。それが故に、著者は憲法を基軸にして社会を考え作品を書き続けた。本書には、憲法の成り立ち、三原則、九条の精神などについて書いたエッセイ、講演録などを収録する。「日本国憲法って何だろう?」の答えがある。

第1部 憲法と生きて(憲法を読む(憲法を生きて―破られた戦力放棄と議会民主主義/ 読物としての新憲法/ 私家版憲法読本/ これからだ日本国憲法を読もう/ エッセイの題材/ いちばん偉いのはどれか/ 憲法の三原理)/ 九条を語る(軍隊は国民を守ってくれない/ 世界の真実と中村哲さんのこと/ あんな時代に戻りたいのか/ 絶対平和とはなにか/ 自分にとって大切な友を、けっして裏切ってはならない))/ 第2部 二つの憲法―大日本帝国憲法と日本国憲法(憲法の誕生/ 大日本帝国憲法ができるまで/ 戦争から敗戦まで/ 日本国憲法ができるまで)

<アンパンの皮に塩漬の桜の花びらをのせようと、シソの葉をあしらおうと、ゴマをふりかけようとアンパンはアンパンだが、中にアンコが入っていなければ、もはやアンパンではない。アンパンがアンパンであることを決めているのはアンコなのだ。中にジャムが入っていたら、ジャムパンになってしまう。つまりアンパンで偉いのはアンコなのである。 また、うどんの上にアブラゲをのせようと、揚げカスをおこうと、テンプラをあしらおうと、うどんはうどんだが、丼の底にうどんが入っていなければ、もはやうどんではない。そばが入っていたら、それぞれキツネそば、タヌキそば、テンプラそばになってしまう。つまりうどんで偉いのはうどんなのである。 さらに、羽織をはおろうが、パジャマでくつろごうが、タキシードで盛装しようが、わたしが着ているかぎりわたしがわたしであることに変わりはない。わたしは羽織やパジャマやタキシードで変質したりしないから、わたしは衣類より偉いのである。 そして、日本国憲法に、主権在民と平和主義と基本的人権の尊重が盛り込まれているから日本国憲法なのであって、この基本原理が一つでも欠けたら、もはや日本国憲法は日本国憲法ではなくなってしまう。 ところで、政府与党は、「改憲」と称して、日本国憲法から平和主義を外そうとしている。戦さのできるフツーの国になるために基本原理を変えたいというのであれば、もうすでに「改憲」ではない。国の基本のかたちを変えるのだから、それは革命であり、クーデタである。アンパンからアンコを抜いてアンパンでなくしてしまい、テンプラうどんからうどんを取り除いてうどんでなくしてしまい、パジャマのわたしからわたしを抜いてわたしでなくしてしまおうというのだから、これは当然、革命かクーデタだということになる>

Smart Renewal History by The Room

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