編集長の毒吐録
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☆2021/5/11更新☆

【読書雑記735】『主権者のいない国』(白井聡、講談社、1700円+税)。著者は言う、<なぜ私たちは、私たちの政府はどうせロクでもないと思っているのか。その一方で、なぜ私たちは、決して主権者であろうとしないのか。この二つの現象は、相互補完的なものであるように思われる。私たちが決して主権者でないならば、政府がロクでもないものであっても、私たちには何の責任もない。あるいは逆に、政府はつねにロクでもないので、私たちに責任を持たせようとはしない。だが、責任とは何か。それは誰かに与えてもらうものなのか。そして、ここで言う責任とは誰に対するものなのか。それは究極的には自分の人生・生活・生命に対する責任である>と。

序章 未来のために想起せよ/第一章 「戦後の国体」は新型コロナに出会った/第二章 現代の構造―新自由主義と反知性主義/第三章 新・国体論/第四章 沖縄からの問い 朝鮮半島への想像力/第五章 歴史のなかの人間/終章 なぜ私たちは主権者であろうとしないのか

論点は多岐にわたる。内容をすべて検証することはできない。僕なりの理解で言うと、著者はこう言っている。日本は戦争で敗れたことにより、一見民主主義国家になったように見えるが、実はそれは表面上アメリカから民主主義を頂いただけで、根源の所では日本社会特有の「無責任の体系」が社会に残っている。そのことが顕著にあらわれているのが政治の分野だと喝破する。

そして、どんな人物がトップに立とうとも、社会がひとたび危機に陥るや、「無責任の体系」が顔を出す。日本政治が劣化した状態になっているのは、個々の政治家の質が低下したためであるとか、国民が平和ボケしていとかの問題ではなく、日本に根付く「無責任の体系」を克服していないからだと著者は言う。「無責任の体系」というのは丸山眞男の言葉だ。前政権から続く最悪の後、どんな政権ができようとも、この「無責任の体系」という構造がなくならない限り、「国際社会に名誉ある地位」を取り戻すことは不可能ではないかと著者は言う。

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