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☆2021/5/14更新☆
【読書雑記737】『戦後教科書運動史』(俵義文、平凡社新書、1600円+税)。教育勅語と国定教科書は、天皇に殉ずる「臣民」を育てる上で大きな役割を果たした。その反省から生まれたはずの戦後の教育制度と教科書だったが、時の権力の攻撃にさらされてきた。検定制度を問うた「家永教科書裁判」など教育基本法、道徳教科化、学習指導要領までの、教育と教科書に真実を求める苦闘を描き、教科書問題から見る日本の教育のあるべき姿を追う。
第一章 戦前・戦中の教科書とその役割/第二章 戦後改革の中の教科書/第三章 第一次教科書「偏向」攻撃/第四章 「冬の時代」の教育と教科書/第五章 「冬の時代」を終わらせる家永教科書裁判の開始/第六章 杉本判決後、七〇年代の教科書の改善/第七章 八〇年代初めの第二次教科書「偏向」攻撃/第八章 八九年の学習指導要領・検定制度改悪と九〇年代検定/第九章 「検定に違法あり」最高裁の最後の判決が認定/第十章 九〇年代の教科書の改善と第三次教科書「偏向」攻撃/第十一章 教育基本法改悪の動きと反対運動の広がり/第十二章 「教育再生」政策から生まれた新検定基準/第十三章 道徳の教科化と子ども不在の新学習指導要領/第十四章 日本の教科書制度は何が問題か/第十五章 私たちの求める子どものための教科書制度
戦前・戦中の教科書から戦後の教育改革に至る問題を述ベている。「東京裁判史観」とか「自虐史観」といわれる教科書問題が、戦後間もないころから起こっていることだ。アジア諸国への「侵略」「進出」が問題となった「偏向」攻撃に続き、改憲を党是とする自民党に言わせれば、愛国心に基づく教育はずーと追求してきたものだ。最終章で著者が将来への要望として挙げている、文科省による教科書検定制度の段階的廃止・教科書の広域選択制から学校選択制への移行などは「検討の価値あり」だろう。
Smart Renewal History by The Room
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