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☆2021/5/18更新☆
【読書雑記738】『太平天国 皇帝なき中国の挫折』 (菊池秀明、 岩波新書、860円+税)。太平天国は、「滅満興漢」を掲げて清朝打倒をめざした。また、太平天国は皇帝制度否定論者だった。中国の近代化に続く道に光をあて、皇帝支配を問い直す著。
太平天国の黎明期からその滅亡までを描いた労作と言えようか。延安時代(毛沢東の時代)から習体制まで続く中国共産党体制の原型が太平天国の姿から見える。著者の問題意識は「強国化」を進める現在の中国の状況を踏まえ、中央集権国家だけが中国の選択肢だったのかを問う。太平天国の挫折を通じて、「皇帝なき中国」は可能なのかという現在の中国が抱える課題を浮かび上がらせるという著作。
著者が示す洪秀全(太平天国のリーダー)はファナティックなそれとしてではなく、客家出身であるが故の差別に苦しむ人間として描かれる。伝統への回帰と見直しを、キリスト教との出会いで果たした人間として描かれる。軍師として政治・軍事的な権原を持った楊秀清と洪を支えるという体制だった、No.2の楊秀清でとどまらないで、その統治下にあった民衆までをも殺し権力を再奪取する。洪は「他者への不寛容さ」を克服できず、諸王に統治を任せる制度を確立できなかった。
Smart Renewal History by The Room
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