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☆2019/3/28更新☆
【読書雑記525】『ナチズムに囚われた子どもたち 人種主義が踏みにじった欧州と家族(上)(下)』(リン・H・ニコラス/著、 若林美佐知/訳、白水社、(上)4800円+税(下)5200円+税)。「子どもは国民の最も貴重な宝」という『わが闘争』の一文が、子どもたちを巻き込み、「人種的に望ましくない」人々への迫害が横行した社会。戦争の脅威とヒトラーの人種主義が子どもたちに課した過酷な運命を、全米批評家協会賞を受賞した歴史家が論じる。好著。
ドイツに合併されたオーストリアのこどもたちの動静、あるいは「東方生存圏構想」に基礎を置くポーランド人の放逐。さらには、北方のドイツ民族(エストニアなどに住んでいるドイツ系の人々)のこどもたち。その地域に「指導」に入るヒトラーユーゲントやドイツ処女団のこどもたちの姿。レーベンスボルン(生命の泉)におけるアーリア人ドイツ民族の選別、親衛隊家庭との養子縁組や一般家庭や工場への労働動員の姿などが描かれる。ユダヤ系のこどもたちに待っている運命。占領下でのこどもたちの姿が生々しく描かれる。
ナチスの動向に沿う形で、ヨーロッパ全体の「こども」に視点を据えた本書は、大変珍しい。人種至上主義に基づくナチ・ドイツの社会政策・占領政策、配下の欧州(ポーランド、フランスからロシア、ギリシアまで)の窮状を、回想録や日記などを使って論じた、「新たな第二次世界大戦史」といえようか。子どもは歴史にただ翻弄されるだけでなく、抵抗組織に入り非合法のビラを普通の新聞に紛れ込ませて配ったり、パルチザンに参加し武器を握ったり、空襲の最中、瓦礫を掘り起こす作業に携わった。
Smart Renewal History by The Room
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