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☆2019/4/6更新☆
【読書雑記527】『壁の向こうの住人たち アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』(A.R.ホックシールド/著、 布施由紀子/訳、岩波書店、2900円+税)。アメリカは、今や、“ユナイテッド・ステイツ”ではない。分断されるアメリカ、共感を遮る「壁」や右派の心を探るために、UCバークレーの学者が旅に出た。全米最貧州の一つ南部ルイジアナ州での5年間、トランプ大統領誕生に力を発揮した「ティーパーティ」を支える人々から聞き取った。社会が急速に変わってしまい、まるで「自国に暮らす異邦人の気分だ」と、共和党支持の人は言う。傑作。
ルイジアナ州は綿花や大豆、サトウキビ、それに牛などを生産する農業州であり、同時に石油や天然ガスの埋蔵量が豊富で、その油井やガス田、あるいは精製業が経済的な基盤にもなっている。しかし、州の財政は厳しく連邦政府からの多額の補助金を受けている。度々ハリケーンに襲われたし、メキシコ湾の油田から原油が流出する事故も起きた。
「ティーパーティ」の人は、連邦政府の介入を批判する。石油産業などによる海や川や土地が汚染されているにもかかわらず、環境運動にも反対する。被害者も、その加害者である企業の告訴をしないし、非難もしない。そういった企業は、雇用を創り出してくれるものだからだ。当然、「温暖化」も信用しない。一方、失業率が高く、失業保険や生活保護を受ける人も多いのだが、そういった人たちへの批判も手厳しい。
著者はその考えの根拠になるものを「ディープ・ストーリー」として描く。アメリカは自由や夢を求めて移り住んできた人たちによってできた国だ。そんな人たちが列を作って並び、勤勉さやフェアな競争によって上に、先に進もうとしてきた。多くは敬虔なクリスチャンで、開拓民やカウボーイの伝統を今でも大事なものとしている。だから、平等意識の高まりによって自分の前に割り込んでくる人たちには我慢がならない
Smart Renewal History by The Room
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