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☆2019/5/7更新☆
【読書雑記535】『GHQ特命捜査ファイル 軍事機密費』(渡辺延志、岩波書店、2200円+税)。東京裁判で、国際検察局に属する一人の検察官が、陸軍の「シークレット・ファンド」=機密費をめぐる捜査に取り組んだ。政府や軍の元高官らを次々と召喚、尋問を重ねるうちに、日本の権力中枢における「錬金術」に迫ったかに見えたが・・。厚いベールに覆われた機密費の実態を、いかにして、どこまで明らかにできたのか? 長年埋もれていた英文尋問調書を読み解き、特命捜査の顛末をたどりながら、戦後も残る“闇”の正体を暴くノンフィクション。好著。
軍事機密費の仕組みが今日の報償費などと酷似している点に、この国の変わらぬ官のありようを考え、暗澹たる気持ちになった。敗戦と同時に公文書を焼却し、責任逃れを図る軍高官と、森友・加計問題で明らかになった安倍政権の隠蔽体質がダブル。
国際検察局は、東條英機らのA級戦犯の犯罪の証拠固めを目的に、軍事機密費の仕組みや流れ、使用目的を明らかにするための特命捜査チームを設置した。この特命捜査チームは、主に軍人を対象として多くの尋問を行った。軍事機密費という性格上、物的証拠はわずかで、多くは証言に頼るしかない捜査であったので、十分な成果が得られなかった。
国民が「贅沢は敵だ!」の宣伝の下で耐乏生活を強いられる中で、軍事機密費を恣に濫用するトップクラスたちが贅沢で乱脈な生活の一端が明らかにされる。戦病死者310万人におよぶアジア・太平洋戦争、多くの国民が食料不足に喘ぎ、空襲で多くの市民が焼き出された陰で、陸海軍の幹部や政治家、メディア幹部達が膨大な軍事機密費で遊興に耽っていたという事実・・。それとは関係なく、軍高官の遊興費や官官接待に充当され、やがては官邸に還流する上納システムに進化していった。
Smart Renewal History by The Room
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