編集長の毒吐録
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☆2019/5/24更新☆

【読書雑記540】『遠い昨日、近い昔』 (森村誠一、角川文庫、680円+税)。なぜ書き続けてきたのか、どのように生きてきたのか。『人間の証明』『野性の証明』『悪魔の飽食』など、社会派本格ミステリーを世に送り出し、旺盛な創作活動を続けた作家は、なぜ書き、いかに生きてきたのかを赤裸々に綴る、作家の初めての自伝(『東京新聞』に「この道」として連裁)。社会派推理作家とみられることが多い著者は、我々に語りかけ、ものを読み、考え、筆を執る。

半世紀以上、日本の文壇の先頭を走る森村誠一は、なぜ書き、いかにして生きてきたのか。焦土の記憶から始まった少年期、青年期に出会った忘れられない女性たち。デビュー後の長きに渡る不遇の時代、流行作家としての日々。盟友とも言える作家たちとの出会いと別れ。生き抜き、社会と人間を見つめて来た作家が、半生を振り返る。新聞連載時から話題を呼んだ初の自伝が文庫になった。

埼玉県熊谷を襲った大空襲を経験し、惨禍を生き延びた著者は、その無残極まる光景を直視する。<いつ、どんな形かわからないが、書いて、それを発表したいという突き上げるような衝動であった。この経験が、私がものを書く方面を志した原体験と言えよう>と著者。そして、<この作品は、尊い犠牲によって学んだ戦後七十年の私の人生の軌道である。と同時に、尊い犠牲者を無にしてはならない、自戒の書でもある>とも述べる。「森村山脈」とも言うべき多様なジャンル作品群を持つ著者の「森村誠一入門書」とも言うべき書。

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