編集長の毒吐録
<<前のページ

☆2019/7/6更新☆

【読書雑記550】『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』 (上間陽子/著・岡本尚文/写真、太田出版、1700円+税)。叙述の対象となる女性は、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。くらしを送ることに必死の女性が、この本に登場する。

女性たちは、それぞれの持ち場のなかで、微かなる、それ以外にどうしようもない選択肢のなかで最善を選んだ。それは他人には、不利な道を選んでいるようにしか見えないかもしれない。著者は診断しない。話を聞くだけだ。

本書は、沖縄の女性たちが男の暴力から逃げ、自分の居場所をつくりあげていくまでの記録ともいうべき書。琉球大学教員の著者は、<キャバクラで勤務していた、あるいは「援助交際」をしながら生活をしていた、一〇代から二〇代の若い女性たちの記録>と言い、あるいは<私の街の女の子たちが、家族や恋人や知らない男たちから暴力を受けながら育ち、そこからひとり逃げて、自分の居場所をつくりあげていくまでの物語>とも言う。

 著者は、<今回の調査では、必要があると思ったときには直接の支援や介入を行うことにした>と言い、登場する女性の出産にまで立ち会っているので、本書は、若い女性たちに随伴した著者の記録と言うべきもの。

同時に、本書は<一五歳のときに、地元を捨てた>著者が沖縄に戻り、地元の子どもや女性たちの抱える問題に正面から取り組んできた記録でもあり、今後もそうするとする宣言の書でもあるだろう。登場する女性たちの記録・物語はいずれも読み進めるのがつらいほど重いが、彼女らがそれを著者に語り<生きのびてきた自己の物語として了解する>するせいか、終わり方は明るい。

強姦やDVや虐待などの暴力で<破壊されているのは、いま、そこにある身体だけでない・・これまで大事にされた記憶や自分のことを大事だと思う気持ちが壊されている>ことだという著者の指摘は重要だ。

Smart Renewal History by The Room

閉じる

First drafted 1.5.2001 Copy right(c)福祉広場
このホームページの文章・画像の無断転載は固くお断りします。
Site created by HAL PROMOTIN INC