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☆2019/8/31更新☆
【読書雑記565】『安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと』 (安藤泰、至岩波ブックレット、520円+税) 。<安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか? 知っておくべき歴史や背景、言葉のからくりを指摘し、「死の自己決定権」「延命治療」といった言葉も吟味し直しながら、その議論が陥りやすい落とし穴を明らかにする。「よい死」を語る前に私たちが真に議論すべきことは何か。人間らしい尊厳ある生き方を求めて、医療文化、社会のあり方を問い直す>とは、版元の問題意識。
脳幹梗塞で生死の境を歩き、「臨死体験」もある僕の印象は、本書は「死」について語る本ではなく、「生」を語る本である。本書は、「生きるに値する命」と「生きるに値しない命」という考えの、拠って来たる所以を解き明かそうとした本である。
安楽死あるいは尊厳死について考えるとき、「生きるに値しない命」という考え方の発生理由について、自覚し観察しなければならないだろう。たとえば、比較的健康な今の自分が、痴呆のために自分がわからなくなったり、病や障害で殆ど何もできなくなった際の自分に対して、前もって「投影している」考えではないか。そう著者は問いかける。
またどのような状態になったとしても、生きるに値すると感じ続けるための援助や社会的手立てが、整っておらず、援助を受けるための情報を得ていないときの考えではないか。社会的にも問いかける。本書の前書きはナチスドイツで作成されたことのある安楽死についての法案の条文で始まっている。
役に立つこと、周囲に「迷惑」をかけないことが求められることが高まっている。「生きるに値する命」と「生きるに値しない命」の境界線はいったいどこにあるのか。いや、「生きるに値しない命」という命題そのものが間違っている。
Smart Renewal History by The Room
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