編集長の毒吐録
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☆2019/9/13更新☆

【読書雑記570】『井上ひさし ベスト・エッセイ』 (井上ユリ・編/ 井上ひさし・著、ちくま文庫、950円+税)。よりすぐった井上ひさし作品、今回も「読書」を堪能した。むずかしことをやさしく・・・、作家は幅広い執筆を繰り広げ、多くのエッセイも残した。「言葉の魔術師」「日本のシェイクスピア」の本領の一端を本書から感じとれる。

本書で、いかにも井上ひさしらしいと僕が感じたのは、「書物は化けて出る」と「現在望み得る最上かつ最良の文章上達法とは」の2篇。以下は前者。

「警句の構造を借りて『この世の中には二種類の人間がいる。書物なしに生きることのできる奴と、そうではない奴だ』という下手な類似品をひねり出せば小生はさしずめその後者、すなわち『書物なしでは生きることのできない奴』に属するだろう」。

「いまでは家中を書物に占領され、こっちの方が小さくなって生きている。『エイ、面倒くさい』と、のさばり返った書物を叩き売ればどうなるか。きっと化けて出る。・・・なんのことはない、小生はかつて自分が売った書物(そのもの)をまた買い込んでしまったのである。手放したときは安く買い叩かれ、また手に入れれば結構な高値で、だいぶ損をした。がしかし、金銭的なことよりも、『やられたな』と思って気分が沈む。なにしろこの全集は『この全集の前所有者はかなりの愚物にちがいない』と小生自身に小生の口から悪態をつかせたのだ。叩き売られた怨みを十年間も忘れずいまごろ化けて出るとは、女、いや書物というやつもずいぶん執念深いではないか」。

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