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☆2019/9/27更新☆
【読書雑記573】『中国戦線従軍記 歴史家の体験した戦場』 (藤原彰、岩波現代文庫、1080円+税)。著者は、19歳(!!)で陸軍少尉に任官し、敗戦までの4年間、小隊長、中隊長として最前線で指揮をとった。戦後、その経験を基にして戦争史研究に邁進、第1人者になり、研究を引っ張った。
著者が死の前にまとめた本書は、歴史家の目を通して見た日本軍のありようと兵士・将官たちの日常を描き出した。「従軍記」であり、類まれなる兵士論、あるいは戦場論にもなっている。好著。
本書で、我々は、1941年以降の中国戦線の実像を知ることができる。陸軍が、戦っていた戦場だ。太平洋の島嶼やニューギニア、フィリピン、ビルマなどとは違う苛烈がそこにはあった。
泥濘の中を重い荷物を背負って、黙々と歩き続け、落伍者が死に至る戦場がある一方、占領下の都市では、高級料理店での宴会もある。華北での八路軍との戦闘では、日本軍部隊が待ち伏せ攻撃で全滅し、戦争末期の華南の大陸打通作戦では、中国国民政府軍の部隊との正面衝突死傷者が続出する。
著者は、陸軍士官学校を出て少尉に任官、戦場で自分より年長の兵士達を率いることになった。日本軍にとっての食糧の徴発=中国の民衆にとっては略奪であることを著者は認識しているが、弾薬以外の補給がない中で、止めることが出来ない。
飢えない為に、日本軍が通ったことのない経路を選ぶなども、記される。日本軍の蛮行や、焦土作戦(三光作戦)などの記述も。著者の、中国戦線での戦場体験をベースに、歴史家の目と使命感が本書に散りばめられている。
Smart Renewal History by The Room
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