編集長の毒吐録
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☆2019/10/6更新☆

【読書雑記575】『植民地から建国へ  19世紀初頭まで』 (和田光弘、岩波新書、840円+税)。近代の世界で、強国として振舞い、深い影響を及ぼしてきたアメリカ。本4巻のシリーズは、一国史を超える視座からその歩みを叙述する。第1巻(本書)は、先住民の世界から植民地期、独立革命と憲法制定、そして新共和国としての試練まで、初期アメリカの歴史像を、大西洋史や記憶史の知見もふまえた著作だ。

合衆国憲法制定から230年、日本国憲法よりも3倍もの長きにわたり、連邦と国家を運営してきた。初代から第45代まで44人の大統領を、憲法二条にもとづいて途切れることなく選び続けてきたこの国は、もはや決して若い国でも、歴史の浅い国ではないと本書は教える。

建国時の13州は13の独立した国(邦)という意味のSTATEだった。初代大統領のワシントンから5代目のモンローまで、2代目を除く4人は、南部の出身で、彼らは、奴隷制の大プランテーションの経営者だった。

本書は、ヨーロッパ人が北米大陸に到着する前の、考古学的人類学的な知見にもとづいた大陸の状況についての概観からはじまる。大航海時代における1492年のコロンブスの新大陸「発見」あたりから、本格的にアメリカの歴史が記述される。イギリス領植民地が発展していくなかで、ふたつのヴェクトルがあったという本書の指摘は興味深い。

ひとつは「本国から持ちこんだものを植民地環境へ適応させる〈クレオール化〉の力」、もうひとつは「本国の伝統・文化規範・社会秩序などを重視する〈イギリス化〉の力」だったというものだ。本書は、歴史の記憶を刻印した公共的で、しばしばシンボル的ないしアイコン的な意味を担ったさまざまなモノ(彫像、記念碑、旗、図像、墓(地)、建造物、地図、貨幣、切手などなど)に着目し、記憶史的なアプローチをふんだんにくわえている。

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