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☆2019/10/22更新☆
【読書雑記580】『加藤周一青春ノート 1937-1942』(加藤周一/著、鷲巣力・半田侑子/編、人文書院、3800円+税)。「弾丸や飢えは僕を変えるであろう。勇気の要るのもその時であろう」(1941年12月8日)。米英と戦争に入るとの放送があった日、加藤周一はこのように綴った。本書は、加藤が18歳から22歳にかけて書き綴った8冊のノートを収録した書。
そこには青年時代の加藤の思索があり、その後の思想と行動の原点を見出すことができる。戦争中という時代に生きながら、青年加藤は何を考えたのかが、詳細な注釈付きで収録されている。好著。
本書は「加藤周一が青春時代をどのように生きたか」が「よく表された作品」、「加藤が生きた時代とその時代を生きた人びとがよく記された作品」、「ノートと同様に年代順に配列」すること、「今日の読者のために必要に応じて校註を施すこと」の4点を原則に抜粋・編集作業されたことを「あとがき」で述べている。このノートが書かれた時代との類似を感じる現在、本書から読み取れる加藤の精神を知ることは、時代とどのように向き合うかを考える上でも参考になる。
本書ではないが、加藤はこんなことも言っている。「言葉は、どれほど鋭くても、またどれほど多くの人々の声となっても、一台の戦車さえ破壊することはできない。戦車は、すべての声を沈黙させることができるし、プラハの全体を破壊することもできる。しかしプラハ街頭における戦車の存在そのものを正当化することはできないだろう。自分自身を正当化するためには、どうしても言葉を必要とする。すなわち相手を沈黙させるのではなく、反駁しなければならない。言葉に対するには言葉をもってしなければならない。1968年の夏、小雨に濡れたプラハの街頭に対峙していたのは、圧倒的で無力な戦車と、無力で圧倒的な言葉であった」(「言葉と戦車」、1968年)。
Smart Renewal History by The Room
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