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☆2019/11/8更新☆
【読書雑記585】『称えることば 悼むことば 加藤周一推薦文・追悼文』(加藤周一/著、鷲巣力/編)。作家・水森美苗は書いている。
<加藤周一を加藤周一たらしめるもの。それは、一に、普遍性を求めてやまぬ精神の運動。二に、洋の東西やジャンルを問わぬ知識の博さ。三に、文章の切れ味である。彼が遺した膨大な文章――そこから短い推薦文と追悼文だけを拾い集めたこの本は、彼の精神の運動、知識の博さ、そして文章の切れ味を、あますところなく見せてくれる。論はあらゆる形の詩歌、哲学、小説、美術、音楽に及ぶ。世に知られた人物にも、知られなかった人物にも及ぶ。同時に、漢文調の警句とフランス風のアフォリズムがないまじり、日本語がかくも豊かに鋭くありうることを思い起こさせてくれる。加藤周一こそ、称えられ、悼まれる人物であったと、今、改めて思う>。 書名の「称えることば」は、内容見本、新聞広告、書籍の帯などに書いた推薦文(55本)などで、「悼むことば」は、葬儀や偲ぶ会などで述べた弔辞や追悼文(38本の文章)である。巻末には編者の「解説 自画像としての推薦文と追悼文」が付されている。
「称えることば」には、「帯」が2本、裏表紙の推薦文が1本、新聞広告が2本、50本は「内容見本」に書かれている。無駄がなく、内容を端的に言い表す文章に脱帽。「悼むことば」で加藤は、年上はもとより、同世代や年下の友も見送っている。「ある友人のために」も、福永武彦、中村真一郎への追悼文は、読んでいる側の胸に迫るものがある。小田実は13歳も下で、無念さが伝わる。
さらに、こんな追悼の小文もある。<宮本顕治さんは反戦によって日本人の名誉を救った。戦争が終わり世界中が喜んでいるのに日本人だけが茫然(ぼうぜん)自失状態だった時に、宮本さんは世界の知識層と同じように反応することができた>。物事の本質を無駄なく表現する加藤の本質を見事に示している文章と言えよう。
Smart Renewal History by The Room
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