編集長の毒吐録
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☆2020/1/3更新☆

≪悼辞―前を歩いた12人 ❶ヒットラーの蛮行を暴く≫  

クロード・ランズマン(フランス、92歳)の作品の一つは、ホロコーストを扱ったドキュメンタリー映画「SHOAH ショア」(85年)だった。僕らはこの大作(9時間30分)を、18年1月27日(ホロコースト犠牲者を想起する国際デー)に上映、鑑賞者に深く考えてもらう映画会だった。

パリ郊外のユダヤ人の家庭に生まれ、第2次大戦中のレジスタンス運動に加わり、戦後は、『レ・タン・モデルヌ』誌編集長を務めるとともに、ホロコーストやアルジェリア戦争を追及するジャーナリストとして活躍、85年に、「ショア」を発表した。
レジスタンス活動、妹の死、サルトルとの交友、ボーヴォワールとの同棲、ベルリン封鎖時代のドイツ、イスラエルへの旅などが赤裸々に綴られる『パタゴニアの野兎 ランズマン回想録』(人文書院)を著した。その中に、ユダヤ系フランス人としての自己を問い、時代を代表する人物の人間模様が描かれる。

『ショア』は、語りを排し資料映像も使わない。当事者の証言だけでナチスによるユダヤ人大虐殺(ショア)を描き出した。映画には、ユダヤ人虐殺に関与した元ナチスの証言を盗み撮りする場面がある。ランズマンにためらいはない。パスポートを偽造して身分を偽り、小型カメラをバッグに隠して盗撮を敢行する。

その毛の生えたような心臓と倫理観は、レジスタンス時代に培われたのだろうか。彼は、銃をペンやカメラに持ち替え、才能を発揮した。「人間」を問い、人間が平等に、尊厳を持って生き暮らせる世界への道を示した。

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