|
<<前のページ
☆2020/3/3更新☆
【読書雑記616】『20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代』 (中野耕太郎、岩波新書、 860円+税)。20世紀のアメリカは工業化と大衆社会化を迎えた。そのなかで、格差や貧困に直面した。ニューディールに象徴される「福祉国家」と変わっていく。それは、二つの世界大戦を経て帝国化していく道でもあった。本書は、ヴェトナム戦争とニクソンショック冷戦が変化する70年代までを対象にする。
ニューディーラーたちがめざしたエスノ・レイシャル(Ethnoracial、人種・民族的)な問題を除外した「福祉国家」が実現したのは、若い頃からのニューディーラーだったというニクソンだと著者は述べる。ニクソンは「名誉ある撤退」というキャッチフレーズでヴェトナム和平を公約して大統領選挙を戦った。
オアフ島真珠湾の軍事要塞化、パナマ運河の完成はアラスカ−ハワイ−パナマ−カリブ海の防衛ラインを生んだという評価、あるいは第1次大戦後、アジアでは中国のナショナリズムと日本の帝国主義、ヨーロッパではドイツから挑戦を受けたという見取り図も描かれる。
本書は1901年から73年までを対象にするのだが、「20世紀のアメリカにおける、人種、民族、性による差別の歴史」とも言えよう。第1次大戦前、大戦間、大衆消費社会、大恐慌、ニューディール、黒人問題、2次世界大戦、原爆、冷戦、朝鮮戦争、フィフティーズ、ケネディ、ヴェトナム戦争、公民権運動、ニューレフト・・、アメリカの通史でもある。
Smart Renewal History by The Room
|